栽培技術・農業知識

 農業を営むために生産する農作物の栽培技術とそれに伴う農業知識。
 栽培する農産物が決まっていれば、その為の知識はもちろんのこと、栽培する可能性のある作物に関する幅広い知識が必要。ある程度、把握していないと栽培に適した作物の選択を誤る恐れも。
 趣味の栽培ならそれでもいいが、生活のかかった農業では、1度の失敗が1年の遅れに繋がってしまう。

技術と知識

農業に必要な知識(講義編)
大学等の農業関係講義内容では
・食料経済学・農産物流論・農業経営学・国際農業論・環境保全型農業論・栽培学汎論・稲作学・花卉学・果樹園学・蔬菜園芸学・植物組織培養学・植物遺伝学・植物生産額・植物育種学・植物分子生物学・植物ウイルス学・植物病理学・応用昆虫学・動物生殖学・応用動物遺伝学。動物発生学・動物生体機構学・粗飼料利用学・農業生産環境学・作物生産技術学・・・・・・等等
ですが、これらの内容は農業を営むのに全くと言っていいほど役に立ちません。

 果樹栽培ナビ管理人は、実際にこのような修学を修めた卒業生です。しかし、役に立ったのは修学時の人脈だけで講義の内容は全く生かされませんでした。
 農業を志す人を対象としたセミナーに参加を考えている人もいると思います。しかし、内容に大差はないと思います。セミナー等では、セミナー自体が商売として講義を行っているため、興味を引くような(参加者が聞きたい)話をしているだけに過ぎません。管理人の知り合いにもそういった講師もいますが、講師の農業実態は人に教授出来る立派なものではありません。(中には、立派な人もいるだろうけどね。)
では実際には農業ではどういった知識が必要なのか?最重要ななものは主に2つです。
市場での商品価値の知識
商品価値のある作物の栽培技術

 経営学、農業論、その他の知識は収益があがってからで十分です。

市場での商品価値の知識
 大切なのは、個人的価値観による価値ではなく、商品としての市場価値です。有機栽培、いいことです。無農薬、すばらしい。しかし、そういったことと市場価値は別問題です。自営業である以上、採算がとれることが最優先です。こだわりを持つことは良いことですが、まず採算がとれてからの問題です。でないと破産しちゃいます。

商品価値のある作物の栽培技術
 市場での価値が分析できたなら、目的の作物も目標の商品価値基準に適合するように栽培し、市場に流通させます。その為に、どういった設備が必要か、環境条件が適合するか、特別な専門知識や、習得出来ていない技術はないかを検討し、栽培を始めます。
 設備・環境条件は、どうにもなりません。しかし、専門知識・技術は最初は誰もが素人です。恐らく失敗するでしょう。失敗しないまでも収支がマイナスになるでしょう。そんな中で、必要なことを経験により会得します。

商品価値の一例
・大きさによる規格 ・・・
 商品としての最適な大きさがあります。これに反すると、市場価値が減少します。
・形状による規格  ・・・
 例えば曲がったキュウリ等。商品としての形状も価値に影響します。
・等級(見栄え)による価値  ・・・
 見栄えによる傷、含有する糖度等も価値に影響します。
・市場への流通時期  ・・・
 促成栽培に代表されるように、需要と供給の市場原理が働きます。収穫時期も大切なファクターです。
・ブランド
 特定の産地においては、産地名だけで付加価値を与える場合もあります。その他、農園名だけで独立したブランドを確立できるケースもあります。

新規農業参入者の失敗原因
 農作物は、気象条件・病害虫・土地障害等様々の影響を受ける植物であるため、そこから単純に収益を上げること自体が難しいです。
 そんな中でよくある勘違いが、農業に転職した素人がいきなり有機栽培・無農薬に拘る農業です。
 玄人でも、それなりの追加設備や準備をしないと取り組めないことを、化成肥料や農薬を使用しても満足に出来ない素人が始める。思い入れで出来るほど、甘くはありません。まず、プロの農家並み栽培出来てからです。

有機栽培・無農薬栽培の問題点
 農作物は、有機栽培・無農薬(以下、無農薬等)でもある程度の栽培(収穫)は可能です。しかし、現在の農作物は農薬等を使用することを前提に品種が改良されているため、無農薬等ではその代償にいくつかの問題が発生します。
例えば・・・・
・収穫量が減る
・見栄えが悪くなる
・生産コストが増える 等等

 これらのことは、農業は経営ですので市場価値が連動し、収支があえば大きな問題ではありません。1番の問題は、無農薬等の作物の市場価値と生産コストのバランスが取れていない点です。
 実際に、市場価値が高くならなと経営が成り立たないのです。その為には、独自の流通路を開拓するというさらに困難な知識と技術が必要になります。
 また、現在の日本の農業政策では、無農薬等に対しての政策がなされていないのも、経営を圧迫する要因です。環境への配慮による免税制度、無農薬等の設備導入にかかる補助金の新設。そういった政策が実施されるまで、自営業で採算を見込むのは難しいです。

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