梨の苗木を植える

 梨等の果樹を植える場合、市販の苗木を定植する方法が一般的です。市販の果樹の多くは、接木により台木に生命力が強い品種も使用してることから、単に育てやすいというだけではなく、収穫に至るまでの年数が短い。収穫量が多い等のメリットがあります。

植える場所

植える場所
 果樹は一旦植えると、移植は大変です。場所は慎重に選びます。基本的に植えたい場所に植えるのですが、避けたほうがよい場所は以下の通りです。
移植に適した場所(梨の場合) 適さない場所(梨の場合)
・水捌けが良い場所(砂地が混ざっていても可)
・異なる品種のがある場所
・日当たりの良い場所
・北風が当らない場所
・アルカリ土壌の場所
・枯れ株の近く
・枯れた木を除去した跡地
・苔が生えている(生える)場所
・有機堆肥を多量に使用した場所
・柏槇(ビャクシン)類の側(梨)
 適さない場所に植える時には、状況を緩和して植えましょう。
適さない環境 緩 和 措 置
枯れ株の近く
枯れた木を除去した跡地
 スコップで掘り起こし、枯れ株と、可能な限り根を除去します。また、植える付近の土を他の場所の土と入れ替えます。
 枯れた原因が、白紋羽病である場合は、多少土を入れ替えた程度では再発して枯れてしまいます。数年間期間をあけるか、どうしても植える場合には土の入れ替えの他専用の薬剤を用います。
苔が生えている(生える)場所  苔が生えると言うことは、水捌けが悪いことが考えられます。
 水捌けを改善してから植えます。排水溝の作成や、盛り土をして周りより高くすることも有効です。
有機堆肥を多量に使用した場所  有機肥料も大切ですが、苗木の時には肥料の影響が強すぎます。根が地面に着くまで、多量に使用するのは控えます。
 化学肥料も、直接根に触れるように与えるのは良くありません。苗木の間は、植害がでるとそのまま枯れることもあります。
柏槇(ビャクシン)類の側(梨)  赤星病の病原菌が越冬します。可能であれば離して植えます。

苗木の植え方
 地面を掘って植えるのだけですが、適当に植えると生育が遅れたり、枯れることもあります。
幸水梨苗木
・深さ
約30cm程度ですが、苗木の接木された位置を確認して植えます。
 上の写真で丸く囲ってある場所が、接木された場所です。
ここを境に、上部が幸水梨、下部(台木)が豆梨になっています。
必ず、接木部分を地上出して植えます
・穴の大きさ
 直径30~40cm程度の穴を掘り、果樹の根が広がるようにして植えます。
 ポットに入った苗では、ポットから出してそのまま収まるように植えます。
 農業用では、もともとの根の形が阻害されないよう広げて植えます。
・土を被せる
 根が定着していないので、苗は非常に不安定です。しかし、無理に土を固めると根が切断されるので、土を細かくして空洞を埋めるように被せます。
 仕上げに隙間を埋めるのに足で踏んで固めますが、体重を載せると力がかかりすぎるので、加減して踏み固めます。
・添え木をする
 不安定な苗が、倒れたりしないように添え木や支柱により固定します。
 多くの植物が、人工物と密着することを嫌がります。樹木の根の保護からも密着させずに10cm程度離れた位置に添え木を立てます。
 固定には紐を用いて固定しますが、間があるため間の部分は紐を数回ねじって遊ばないようにして結びます。
 参考に管理人は、添え木に節目付ビニール支柱。紐には発泡ロープを用いています。

黒色;苗木、オレンジ:、添え木:
結び目の写真

植え終われば、最初の剪定です。

農業用の苗木とホームセンター等の苗木の違い

 成長が遅い気がする。実りが悪い気がする。農業でのプロの苗木とホームセンタでの市販品(以下、市販品)は違いがあるのでは?と疑問の人もいるでしょう。実は、違いはあるような、ないような。はっきりした違いはないはずですが、やや異なります。

違い
 ホームセンターで見る苗木は、写真のように土の入ったポットに入り売られています。それに対して、農業で使用する苗木には土がなく、根が付いた物が数本束ねられて送られきます。
( 一目瞭然の為、写真を準備して後日掲載します。)
市販されている苗木 農業向けの苗木
市販の苗木写真 農業用苗木写真
違いの理由
 農業では、苗木は移植に適した時期に纏めて実施します。
 対して、家庭栽培では移植時期がまばらなほか、長期間に渡り店頭に並べるため、枯れないようにする対策でしょう。 (苗木屋さんに確認をしたわけではないので、情報の正確性は保証致しません)
 当然、農業の苗木は土がないので放置すると乾燥してしまいます。届いたら直に植えます。しかし、樹木の休眠期行う為、過度に乾燥させたり、湿度により腐食させない限りある程度の時間が空いても問題ありません。
 果樹ナビ管理人では、概ね1ヶ月以内に移植を行っています。

違いの影響
 苗木屋も商売としているので、苗木自体の品質に大きな違いはないと思います。
 しかし、販売環境から農業用の苗木との違いが発生します。また、数年に渡り売れ残っていると萎縮してしまっている苗もあると思われます。
 ・大きさ
 農業用 ・・・・・ 全長2メートル程度の大きさ
 市販品 ・・・・・ 全長1メートル程度の大きさ
 ・根の状況
 農業用 ・・・・・ 大きな主根と側根の数本のみで数が少ないが、長い根(30cm程度)がある。
 市販品 ・・・・・ 土の入ったポットに収まる範囲なので割と短い。ポットは主に乾燥予防の為。 

 ・値段
 農業用 ・・・・・ 1,300~2,000円程度。品種により異なる。新品種等がとく高い。
 市販品 ・・・・・   600~1,000円程度。特売などでさらに安いことも。

果樹苗を植える
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