摘蕾

 摘蕾とは、蕾の段階で不要な花を除く作業のことです。
 摘蕾により不要な養分消費を防ぐことによって、果実や花を大きくします。特に梨の栽培では、花を咲かせる養分は前年に蓄えた限りある養分ため、早い段階での実施ほど効果が大きくなります。
摘蕾イメージ

摘蕾を行う蕾

 主に不要となる蕾は以下の通りです
 ・主枝の蕾
 ・亜主枝の蕾
 ・側枝(長果枝)の先端1~2の蕾
 ・下向きに伸びる蕾
 ・苗木、及び若木(2~3年目)の実らせる予定のない木の蕾
 この他、花芽が多すぎる等、明らかに結実する必要がない箇所。

摘蕾の優先順位

 摘蕾作業では、作業期間が非常に短いことから摘蕾作業が効果的に現れる箇所を優先して行います。
優先順位:
 1 苗木
 2 若木(2~3年)で果実を実らせる予定の無い木
 3 若木(4~5年)の枝の先端、花芽が多すぎる箇所
 4 成木の枝の先端
 その他の箇所については、作業に余力があれば行います。

摘蕾の方法

 不要となる蕾を指先で使って取り除くだけです。
 摘蕾時期は数日と非常に短く、直ぐに開花してしまいます。適切な摘蕾時期であれば、指先で触れるだけで簡単に摘み取ることができますが、時期が僅かに遅れるだけで鋏により切り取りが必要となり手間が大きくなります。

・摘蕾実施の注意
 摘蕾を行う際は、果樹全体のバランスを考慮して行ってください。
 ・蕾が多すぎる → 不要となる蕾から積極的に行う。
 ・例年、結実する割合が少ない → 十分な収穫が出来るよう、加減する。又は行わない。
 ・凍霜被害が受けることがある → 下向きに伸びる蕾の摘蕾は行わない。(※1注意)
 ・降雹(ひょう)被害を受けることがある → 下向きに伸びる蕾の摘蕾は行わない。(※1注意)

・摘蕾のその他
 摘蕾の実施は、果実の成熟の為だけでなく、摘果作業の軽減と言った効果もあります。しかし、結実前に作業を行う為、摘蕾を行った後に悪天候等により受粉が十分にされない年があった場合、必要な結実が得られず、収穫量を少なくすることにつながります。
 果実の最終調整は、摘果作業で行い、明らかに不要な箇所以外は行わないことも大切です。
 特に、鉢植え栽培等の栽培面積が限られる場合、果樹が一定の大きさで生長が不要となるので、主枝や、亜主枝でも収穫を優先する方が効率が良いかもしれません。

・ボケ芽の取扱い
 花芽等にはボケ芽と呼ばれる極端に生育の悪い芽が発生する場合があります。代わりとなる花芽があるのであれば、ボケ目は摘蕾します。

※1注意
 下向きの蕾は、育ちが悪い反面、霜や雹等の被害を受けないといった利点があります。栽培地域によっては、下向きの蕾を大切にします。
梨の摘蕾
梨の蕾の写真 摘蕾を行う枝

花芽6箇所あります。
梨の摘蕾作業の写真 摘蕾の実施
 先端、二目は確実に不要となる為、手(指先)を使い蕾だけを落とします。
 作業の際、葉の芽は残し、蕾だけを優しく落とします。。
梨の摘蕾された枝写真 摘蕾が終了した枝
 先端の花芽だったものが、ただの葉芽に早替わりしました。
 ボケ芽の写真
梨の健全な芽の写真 ボケ芽の写真
 左の写真上下は、同じに日に撮影した1本の繋がった枝です。
 上花芽は、他の木と比べて平均的な成長です。下花芽が、著しく小さく萎縮したような成長になっています。
 ボケ芽は、果実に付けるの適さない為、摘蕾により葉芽だけを残しましょう。
梨のボケ芽の写真

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