肥料の考え方
肥料と一言で言っても化成肥料、有機肥料、石灰等の土壌改良剤などがあり、その効果や特性が大きく異なります。園芸栽培の多くは、1年間(実質6ヶ月程度の)の短期間の栽培であり、その効果が現れるまでの時間の速さ。効果の持続期間についても重要な要素となります。
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必要となる栄養素
品 目 | 効能・効果 |
N チッソ |
葉の成長に必要な栄養素であり、初期(苗から成長するまで)に最も必要となる栄養素。 成長すると、窒素分多いと花芽がつきにくくなる。 園芸でつる豆を栽培すると、大きく蔓が成長したのち、花が咲かない等の原因は窒素分の多い典型の症状。 |
P リン酸 |
花を付けるのに必要な栄養素。 実のなる野菜、鑑賞用の花に欠かせない栄養素。 |
K カリウム |
植物の根が育つのに必要な栄養素。 |
その他 | ミネラル、カルシウム、マグネシウム 等 |
鉱物等を原料にした肥料。含有成分は表示の通りであり、必要な栄養素を確実に供給する。また、殆どの化成肥料が即効性。追肥・元肥・あらゆる場面で有効に作用するが、持続期間が短く養分切れを起こしやすい。 有機肥料は殆どが遅効性であり、栽培途中での急激な養分切れが発生しにくい。化成肥料だけでは長期的にはミネラル分等の欠乏が発生する。 |
「園芸肥料の使用」へ |
品 目 | 特 徴 |
牛糞 |
バランス良く栄養素を含み、土の硬化も防ぐ有機肥料の代表。園芸コーナーで発酵したものが広く市販もされている。 園芸では土が固くならない特性から、元肥の使用に適している。 |
発酵鶏糞 |
広く利用されている有機肥料。成分では、弱アルカリ、牛糞と比較して養分が多い。値段も安価であり葉や茎が成長する窒素分が多い。 痩せた土地の元肥として使用する時に向いているが、土が固くなるため、土が固い場合には土壌改良剤との併用が必要となる。 ・牛ふん、鶏ふん堆肥の使い方 |
油かす |
なたね・大豆等の油を絞ったかすに、骨粉等が混ぜられた一般的な有機肥料。窒素分が多い。園芸栽培で有機肥料としては追肥としても効果が期待できる数少ない貴重な有機肥料。元肥・追肥問わず、幅広く利用できる。 ・油粕に発生する白いカビと肥料効果 |
籾殻 |
お米を収穫した時に出る大量の籾殻。腐食して肥料として効果が出るまでに10年かかるといわれ、肥料として単純に期待出来ない。しかし、土壌改良に大きな効果がある。 具体例:地中に混ぜ込むと水はけが良くなる。地表に厚く均一に散布しておくと、草が生えにくい。 もみ殻について詳しくは、姉妹サイト「果樹栽培ナビ>果樹栽培の肥料>もみ殻の使い道と効果」へ(別ページで開きます。) |
籾殻や藁等の草木灰 |
もみ殻や藁。雑草などを燃やした白い灰。即効性のアルカリ性分と栄養素のカリウムが豊富な肥料になる。 有機肥料に少ないカリウムを多く含む貴重な有機肥料であり、消石灰・苦土石灰と同様にアルカリ肥料として使用できる。 草木灰について詳しくは、姉妹サイト「果樹栽培ナビ>果樹栽培の肥料>草木灰の効果と使い方」へ(別ページで開きます。) |
剪定作業で多量に発生する枝は、燃やすことでカリウムを含むアルカリ肥料の草木灰。堆肥化することで窒素・リン酸・カリを含む肥料として活用できます。そのまま処分する時では、通常可燃ごみとしての廃棄処分することができます。 剪定枝を利用した堆肥について詳しくは、姉妹サイト「果樹栽培ナビ>果樹栽培の肥料>剪定枝の活用と処分方法」へ(別ページで開きます。) |
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茸栽培の原木類 |
椎茸・平茸・ナメコ等の茸栽培に使用した腐敗した原木。腐葉土としての肥料として期待できる。 しかし、腐敗に時間がかかる他、原木の芯が残るため、破砕処理を行わないと使用し難い。平茸栽培に使用した原木の芯まで腐敗し有効利用しやすく、椎茸は、芯が残り利用しにくいです。 |
わら・すすき |
お米の収穫後のわら。土手等に生えている雑草のススキを除草したごみ。もみ殻と同様の効果が期待できる。 地中に混ぜ込むだ時の水はけ効果は、もみ殻より良い。わらはトラクター・管理機に巻きつくため使用し辛い。 夏期の黒マルチ使用時の熱害対策として使用することが出来る。 |
生ごみ① ぼかし肥料 |
生活ごみ(野菜・魚・肉等)を直接肥料にする方法。生ごみとぼかしを混ぜることで、微生物の分解作業を促進させて肥料にかえる。リサイクル(ゴミの減量化)には有効だが、塩分は分解できないため、残飯は混ぜる時には注意が必要。悪臭や不快虫の発生などする。 |
生ごみ② 卵の殻・貝殻 |
カルシウム分として肥料になる。土壌改良剤の有機石灰は、牡蠣貝を砕いたものであり、同様の効果が期待できる。 卵の殻はそのまま肥料に使える。貝殻は砕いてから撒いた方が良い。 |
生ごみ③ 植物油 |
天ぷら等の揚げる時に使用する天ぷら油等。腐食すれば、肥料として使用できるが成分が濃い為、園芸栽培に直接の使用できない。秋に栽培を終えた栽培地に撒いておき、翌年の元肥として使用できる。苗木・園芸では成分が濃く害がある。 |
生ごみ④ コーヒー滓 肥料 |
飲んだ後のコーヒー滓。植物育成阻害物資により、除草効果がある。発酵させると、植物育成阻害物質も分解され、優れた肥料なる。窒素分が多く、発酵させると優れた肥料になる。 |
品 目 | 特 徴 | ワンポイント! |
消石灰 |
アルカリ分が特に強い地面を中和することが主な肥料。即効性の中和効果と殺菌力がある。消石灰散布後、数日間は植物に害を与えることがある。 アルカリ分70% | 使用の紹介は、 園芸の土作りへ |
苦土石灰 |
地面を中和することが主の肥料だが、消石灰より中和力は弱い。しかし、植物に害を与えることが少ない。苦土(マグネシウム)を含み、苦土の欠乏による異常落葉を解消する。 アルカリ分55% | |
有機石灰 |
牡蠣貝等をもとにした石灰肥料。 効果が遅行性であり、園芸栽培に害を与えにくい。中和力が弱いが、中和成分以外の養分も含んでいる。 |
草木灰については、姉妹サイト果樹栽培ナビ内で紹介しています。詳しくは、「果樹栽培ナビ>果樹栽培の肥料>草木灰の効果と使い方」へ(別ページで開きます。)
・園芸の肥料
・牛ふん・鶏ふんのについては、牛ふん、鶏ふん堆肥の使い方へ
・油かす肥料については、油粕に発生する白いカビと肥料効果へ