殺ダニ剤の薬剤効果
果樹に発生し害となる主なハダニ類は、暗赤色のカンザワハダニと淡黄・淡黄緑色ナミハダニです。殺ダニ剤による薬剤防除では、ステージ(卵、幼虫、成虫)による効果。殺虫作用。残効性の有無。淡黄緑色ナミハダニは効果が低いなど様々な違いから選択が難しい防除です。
更に薬剤抵抗性が発達し易いことから、使用においても注意した薬剤選択が必要となります。
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ハダニ類の種類による薬剤効果
ハダニ類の種類とステージにおける薬剤効果では、多くの殺ダニ剤でナミハダニに対する効果が低く、特にナミハダニの殺卵効果について低い結果が示されています。ハダニ類は薬剤抵抗性が発達し易いですが、特に効果的な薬剤が少ないナミハダニはハダニ類の中でも特に薬剤抵抗性が発達し易い種であるため注意が必要です。
殺ダニ剤の安易な使用(毎年使用するなど)は更なる薬剤効果の低下を招くことから、薬剤防除には最新の注意が必要です。
| 薬剤名称 | カンザワハダニ | ナミハダニ | ||
| 成虫 | 卵 | 成虫 | 卵 | |
| カネマイトFL | 〇 | 〇 | △ | × |
| コテツFL | 〇 | 〇 | × | × |
| コロマイトEW | 〇 | 〇 | △ | 〇 |
| スターマイトFL | 〇 | 〇 | △ | 〇 |
| ダニゲッターFL | - | 〇 | - | 〇 |
| ダニコングFL | 〇 | 〇 | 〇 | × |
| ダニサラバFL | 〇 | 〇 | × | × |
| マイトコーネFL | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ステージの違いによる薬剤効果
果樹に使用する主な殺ダニ剤の作用分類とステージにおける薬剤効果です。異なる作用分類の薬剤によるローテーション使用することで薬剤抵抗性の発達を抑止、または遅延することが期待できます。| 薬剤名称 | 殺虫剤の作用機構分類※1 1次作用部位 |
殺成虫 | 殺幼虫 | 殺卵 | 残効 |
| カネマイトFL | 20B エネルギー代謝 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| コテツFL | 13 エネルギー代謝 |
〇 | 〇 | 〇 | △ |
| コロマイトEC | 6 神経および筋肉作用 |
〇 | 〇 | 〇 | △ |
| スターマイトFL | 25A エネルギー代謝 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ダニゲッターFL | 23 脂質合成、生育調節 |
× | 〇 | 〇 | 〇 |
| ダニコングFL | 25B エネルギー代謝 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ダニサラバFL | 25A エネルギー代謝 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| ダニトロンFL | 21A エネルギー代謝 |
〇 | 〇 | △ | 〇 |
| テルスターWP・FL | 3A 神経作用 |
〇 | 〇 | × | 〇 |
| バロックFL | 10B 生育調節 |
× | 〇 | 〇 | 〇 |
| ピラニカEW | 21A エネルギー代謝 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| マイトコーネFL | UN 生物活性に係る標的タンパク質が不明あるいは未特定 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| マブリックWP20 | 3A 神経作用 |
○ | ○ | × | ○ |
| ロディーWP | 3A 神経作用 |
○ | ○ | × | ○ |
| 気門封鎖剤 | 殺虫剤の作用機構分類※1 1次作用部位 |
殺成虫 | 殺幼虫 | 殺卵 | 残効 |
| アカリタッチEC | 気門封鎖 | 〇 | 〇 | 〇※2 | × |
| エコピタ液剤 | 気門封鎖 | 〇 | 〇 | × | × |
| サンクリスタルEC | 気門封鎖 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
| サフオイルEC | 気門封鎖 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
| 粘着くん液剤 | 気門封鎖 | 〇 | 〇 | × | × |
略号:
WP 水和剤、FL フロアブル、WG 顆粒水和剤、DF ドライフロアブル、EC 乳剤
| ※1殺虫剤の作用機構分類(IRACによる) | |
| 主要グループ | 1次作用部位 |
| 3 ナトリウムチャネルモジュレーター | 神経作用 |
| 6 グルタミン酸作動性塩化物イ オン(塩素イオン)チャネル (GluCl) アロステリックモジ ュレーター | 神経および筋肉作用 |
| 13* プロトン勾配を撹乱する酸化的リン酸化脱共役剤 | エネルギー代謝 |
| 10 ダニ類成長阻害剤 | 生育調節 |
| 20 ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅲ阻害剤 | エネルギー代謝 |
| 21 ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅰ阻害剤(METI) | エネルギー代謝 |
| 23 アセチル CoA カルボキシラーゼ阻害剤 | 脂質合成、生育調節 |
| 25 ミトコンドリア電子伝達系複合体Ⅱ阻害剤 | エネルギー代謝 |
| UN* 作用機構が不明あるいは不明確な剤 | (生物活性に係る標的タンパク質が不明あるいは未特定) |
※2 アカリタッチECの殺卵効果
アカリタッチECの商品説明では殺卵効果がないとされています。しかし、希釈倍率1000倍による試験データでナミハダニ卵に対して効果が高く、カンザワハダニ卵に低いという結果が示されています。
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