労災保険の特別加入
農業は自営業。農家は個人事業主。そして不安定。そんな農業を救う労災保険の特別加入を紹介します。
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労災保険の特別加入制度
・労災保険労災保険は、本来、労働者の業務災害に対する補償を目的としています。しかし、農業者は、事業主であると同時に労働者と同じ作業を行うため、一定の加入条件(下の表に移動します)を満たせば自営農業者及び家族従事者は加入することが出来ます。これを労災保険の特別加入制度といいます。
・給付(補償)内容
給付日額の設定方法が違う他は、通常サラリーマン等が受ける労災補償と同様の内容です。
・療養(補償)給付、休業(補償)給付、障害(補償)給付、遺族(補償)給付、葬祭料(葬祭給付)、傷病(補償)給付、介護(補償)給付
ようするに、
・必要な治療が無料で受けられる。
・業務災害又は通勤災害による疾病の療養のため労働することができない日が4日以上となった場合、加入金額に応じて休業補償給付が受けられる。
・業務災害により事実上により障害が残ってしまった場合は、障害補償給付が受けられる。
・直接通勤災害が補償に該当しないが、トラックなどで現地に向かう場合についても、業務に付帯するとされて給付が受けられます。
・加入手続き
特定農作業従事者又は指定農業機械作業従事者として加入する場合、特別加入団体としての要件を満たす農協などの団体を通じて労働基準監督署を経由し都道府県労働局長に申請します。
・保険料
申告による給付日額に対して一定の料率により積算されます。
参考に、
給付基礎日額10,000円、特定農業従事者の場合、年間保険料29,200円
給付基礎日額10,000円、特定農業機械作業者の場合、年間保険料18,250円
※給付基礎日額は、年収の365分の1です。日額10,000は、年収365万円の人になります。
・加入状況
特別加入の内容は調べてすぐにわかりましたが、実態が不明の為、労働基準監督署で確認してきました。すると、地域により加入人数はだいぶ異なるようでした。
果樹栽培ナビ管理人の地域では、農業者の加入は殆ど皆無みたいでした。農業者以外では、そこそこ加入があることも言ってました。
・労災保険と医療保険
保険料を自ら払い、保険に加入する。それでは医療保険と変わらないのでは?と疑問の方のために比べると・・・
補償の目的 | 労災保険 | 医療保険 |
治療費 | ・必要な治療が無料 |
・入院したとき日額(5,000~20,000園程度)当り補償 ・事故や特定疾病により給付が増減 ・給付日数制限がある |
休業給付 (所得保障) |
休業4日目以降、給付日額の80%があたる ↓内訳 休業給付:給付日額×0.6×(日数-3) 休業特別給付:給付日額×0.2×(日数-3) |
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障害になった時の給付 |
・障害(補償)年金(1~7級) 給付日額、313日~131日分の年金 ・障害一時金(1~14等級) 342~8万円 1~7級は、年金と一時金が給付される。 |
医療保険はで主としてない。 特約により補償があるタイプもある |
遺族への給付 | ・遺族(補償)年金 給付日額、153日~245日 ・遺族特別支給金 一時金として300万円 |
医療保険はで主としてない。 特約により補償があるタイプもある。 |
保険料 | 給付日額×365日×0.008~0.005 | 加入年齢と補償内容に応じて比例して高くなる。 |
その他 (給付) | ・葬祭料 31万5千円 ・傷病補償年金、傷病特別支給一時金 ・介護補償給付 常時介護の場合56,710~104,590円 |
特約内容による。 |
その他 (適用範囲) | 業務上災害、通勤途上災害に限られる。 | 疾病や事故など、日常生活を幅広くカバー |
まとめ | 労災は業務上の事由又は通勤により負傷し、又は 疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、同労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与することを目的としています。そのため、業務上及び通勤途上に限られますが、労災保険は保険料の割りに万が一の際に確実な補償になります。 しかし、生命保険に医療補償特約すれば、補完出来るので、農業実態(業務上の怪我の多さ)を考慮して検討すると、明らかなメリットがあるかもしれません。 ※記載内容は、一部省略等しているところもあります。 加入の前に、公的な文書で確認してご検討ください。 |
業務災害の補償対象
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特定農作業従事者
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1 動力機械を使用する作業 |
指定農業機械作業従事者 |
ほ場又はほ場の作業場において指定農業機械を用いて行う作業 指定農業機械をほ場等の作業場と格納場所との間において、運転又は運搬する作業 |