張線器(ハルー、シメラー)の使い方
果樹棚の棚線や周囲ワイヤーは負荷によりたわみが生じないように強く張る必要があります。張線器を使用することで強く張ることが出来ます。・張線器(ハルー、シメラー)とは
張線器は針金等のワイヤーを強く引っ張るための道具です。果樹棚では棚線や周囲ワイヤーを張線器により強く引き張った状態で端を固定します。引く構造はハンドウインチ等と同様の構造で梃の原理で大きな力を加えることができ、ワイヤーを引く先端には挟むことで強く掴むことが出来る掴線器が取付けられています。
・掴線器(かくせんき)とは
ワイヤーを挟むことで強く掴むことができるワイヤー用クランプのことでカムラー等の名称で販売されています。
・張線器の種類
果樹用の張線器では、引きの強さの違いで1トン(10kN)引き、0.5トン(5kN)引きがあります。引きの強さによりカムラーの対応する線のサイズ(太さ)も異なります。張線器自体では更に引きの強い製品もあります。
果樹棚では1トン引きは主に周囲ワイヤー。0.5トン引きは両端が周囲柱となる幹線に使用します。既に出来た果樹棚の整備では、0.5トン引きがあれば足ります。
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張線器(ハルー、シメラー)の使い方
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・張線器(ハルー、シメラー) 掴線器(カムラー)が組み合わされた張線器1トン引きです。 当果樹園で約30年ほど使用しているため、かなり古い型ですが基本構造は現在も同じです。 |
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・掴線器(カムラー) 先端部のワイヤー用クランプの掴線器(カムラー)です。 |
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・張線器の取付 ワイヤー線を張りたい固定側に張線器の取付ワイヤーを巻付け固定します。 |
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・ハンドルをフリーにする ハンドルのラチェット切替部を中立にしてフリーな状態にします。 |
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・張線器のギアのロックを外す ワイヤーを巻き取るギアを固定しているロックを外します。 |
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・張線器ワイヤーを延ばす 巻き取りワイヤーを引き出します。引き出す際、ワイヤーは全て引き出さずに1巻以上残します。 |
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・掴線器(カムラー)の取付け 張線器のワイヤーを出来るだけ延ばして引きたいワイヤー線に掴線器(カムラー)を取付けます。挟むと自重によりしっかりを掴み、引くことでより強く掴むことが出来ます。 |
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・ワイヤーを張る ギアのロックとハンドルのラチェット切替を戻し、ハンドルを前後させ線を引きます。ゆっくりと力強く張ることができます。 |
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・ワイヤーの固定 張線器で張った状態で、ワイヤー線に緩みがないようにして固定します。 |
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・張線器の取外し 張線器に大きな力が加わっているため、ハンドルを持ちロックを外してゆっくりハンドルを戻して緩めてから外します。 ハンドルを握って戻さないと勢い良く回り危険なため注意が必要です。 |
・張線器扱い上の注意 張線器は水平方向に引く専用道具です。縦(垂直)方向に使用することは出来ません。 また、張線器は非常に大きな力を加えるため、作業途中にワイヤー線の断線。クランプや固定部が外れる。緩める際に本体が暴れる。などすると重大な事故に繋がります。 使用では説明書をよく確認し、安全に作業を行うことが重要です。 ・張線器の能力上の注意 棚線は太さや材質により強度が異なります。張線器の能力や力を加減せずに使用して棚線の強度を超えると破断し、重大な事故を招く恐れがあります。 張線器の能力は使用する棚線の仕様(破断強度)を確認して選択する。作業では力を加減して使用することが必要です。 |
次ページ:張線器のメンテナンス |
・果樹棚の整備 ・整備に必要な資機材については、果樹棚の整備資材へ ・棚線を強く張る資機材は、張線器(ハルー、シメラー)の使い方へ ・張線器の保守点検は、張線器のメンテナンスへ ・張線器を使用した棚線の張り方は、張線器による果樹棚の棚線張りへ ・果樹棚の小張線の張り方は、果樹棚の小張線張りへ ・支柱からの吊り線は、吊線による果樹棚の補強へ ・錆びた棚線の補修は、錆びた棚線(針金)の修理へ ・棚線の延長や繋ぎ直しは、切れた棚線(針金)のつなぎ方へ ・支柱の追加方法は、果樹棚の支柱立て方へ ・周囲柱を抑えるワイヤーの張り直しは、支柱ワイヤーの張り方へ ・不要となった支柱の撤去は、支柱の撤去 へ |