支柱ワイヤーの張り方
果樹棚を囲う周囲ワイヤーを支える周囲柱は、斜めの支柱と地中に埋められアンカーが相互作用することで強固に支えています。しかし、アンカーの浮き上がりによりワイヤーに緩みがある場合、張り直しておくことで果樹棚に荷重が加わった時の緩みを予防することが出来ます。・支柱ワイヤー緩みの原因
・初期緩み
耕作地に果樹棚を新設すると、地面が固くないために打ち込んだアンカーは地中で展開した後も荷重が加わることで浮き上がりが発生します。
新設して数年経過し、果樹が成長しある程度荷重が加わると初期緩みが目立つようになります。
・衝撃荷重による緩み
周囲ワイヤーに防風林の倒木が直撃するなどの大きな衝撃が加わると、倒木が直撃した反対側の支柱が瞬間的に持ち上がることでアンカーが浮き上がります。
衝撃荷重の原因となった倒木等を除去しても、一度浮き上がったアンカーは元に戻らないためその後の大きな緩みとなります。
・機械による巻き込み
草刈りなどの機械を支柱ワイヤーに引っかけると大きな力が加わりワイヤーの変形や留め部がズレることで緩みが発生します。
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支柱ワイヤーの張り方(張り直し)
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・支柱ワイヤー張りの資機材 ・ハンドウインチ(1トン引き) ・玉掛けワイヤー(1トン以上安全荷重のあるもの) ・シャックル(1トン用) ・防錆剤 ・針金等を扱く工具類 ペンチ、ワイヤーカッター類など。 1トン引きで十分な耐久力のあるもので揃えています。 |
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・緩んだ支柱ワイヤー 地面のアンカーと支柱を繋ぐ2本のワイヤーです。 細い方が果樹棚用(下段地上高180cm) 太い方が防取棚用(上段地上高400cm) 2本とも緩み機能していません。 |
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下段:果樹棚の支柱ワイヤー・ハンドウインチの取付支柱と周囲ワイヤーにた玉掛ワイヤーを巻付け、ハンドウインチ取付けます。 |
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・フックの取付 ハンドウインチ先端のフックをアンカーに取付けます。 |
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・支柱の引き付け 支柱は果樹棚の幹線により内側(上側)に強く引かれています。ハンドウインチにより外側(下側)に引き付けます。 |
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・支柱ワイヤーの取外し 支柱ワイヤーを解きます。 果樹棚用の細い支柱ワイヤーは、撚線によるワイヤー1本がアンカーで折り返し巻付けられています。 |
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・支柱ワイヤーの取付 解いた支柱ワイヤーの折り返しの癖がついた箇所を延ばし、強く張った状態の位置で新たに折り返して再取付します。 |
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上段:防鳥棚の支柱ワイヤー・シャックルの取付防鳥ネットが周囲ワイヤーや支柱に纏められ、直接玉掛ワイヤー等が取付けできないためシャックルを取付てシャックルに玉掛ワイヤーを取付ます。 直接支柱などに取付出来る時は、直接支柱に玉掛ワイヤーを取付けます。 |
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・ハンドウインチの取付 垂らした玉掛けワイヤーにハンドウインチを取り付け、ハンドウインチの先端のフックをアンカーと繋ぎます。ハンドウインチを操作して支柱を引き付けます。 |
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・支柱ワイヤーの取外し、取付 防鳥棚用の太い支柱ワイヤーは撚線によるワイヤーと、巻付けグリップでアンカーに取付けられています。 巻付けグリップを外し、ワイヤーを引いて巻付けグリップを再取付します。引いて余ったワイヤーはワイヤーカッターで切断します。 |
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・防錆剤の使用 作業によりハンドウインチや作業ワイヤーで支柱表面の亜鉛の防錆塗膜が大きく削れた場合、亜鉛の防錆剤を使用して保護します。 |
・支柱ワイヤーでの張線器の使用について 張線器は垂直方向に使用することは出来ません。このため、垂直方向で荷重を加えるためにハンドウインチ等を使用して作業を行います。 ・垂直作業での注意 頭上で重量のある資機材を使用するため、破断や外れによる落下があると大きな事故となります。各資機材はハンドウインチの対して安全荷重が十分ある機材を使用します。 ・防錆剤の使用 肉厚の溶融亜鉛メッキが施された果樹用支柱は、多少の傷がついても簡単に錆びません。このため、無理に防錆剤を使用する必要はありません。 通常の溶融亜鉛メッキが施された単管パイプを使用している場合、傷がついた箇所に防錆剤を使用することをお勧めします。防錆剤は亜鉛を含むジンクリッチスプレーを使用しています。 |
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