張線器による果樹棚の棚線張り
果樹棚の周囲柱の間をつなぐ棚線は、幹線と呼ばれ他(支柱を通らない小張線)の棚線より一回り太い棚線を使用します。幹線の両端は支柱と支柱用アンカーにより支えるため、張線器(ハルー、シメールなど)により強く張ることが出来ます。強く張ることで荷重や突風による負荷が加わってもたわみが少なく、揺れ幅の小さな果樹棚を作ることが出来ます。
・幹線の張り直し
果樹棚は経年による負荷の増大。アンカーの浮き上がりや支柱の沈みにより緩みが発生します。
幹線に緩みが発生したとき、張線器により強く張り直す必要があります。
張り直し作業では、吊り線や交差クリップの固定。剪定作業による結び目等を解く必要があるため、新設での張り作業より手間がかかります。
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張線器による棚線張り(張り直し)
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・使用資機材1 張線器とワイヤーを扱うためのペンチやワイヤーカッター類一式です。 |
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・使用資機材2 ワイヤーを固定するための巻付グリップ、交差クリップです。支柱に止める幹線では、赤丸の鋼菅柱用巻付グリップを使います。 巻付グリップがなくてもワイヤーを固定できますが、後のメンテナンスを考慮し巻付グリップでの固定をお勧めします。 |
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・使用資機材3 張線器を固定する際に支柱に傷付き(塗装剥がれ)が困る場合、赤丸のナイロンスリングを支柱に巻付け張線器つなぎます。 |
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・張り直す果樹棚の幹線 緩みたわみが出た幹線です。 幹線は吊り線等により棚全体を支える重要な棚線のため、幹線の緩みは周辺の棚線全体の緩みとなります。 |
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・交差クリップの取外し、緩める 張り直し作業で棚線が動くよう、滑り止めに使用されている交差クリップを取り外します。引き方向に動けば良いので、完全に取り外さず、引き方向の動きを阻害する分を緩めるだけでも作業できます。 |
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・吊り線部の取外し、緩める 吊り線箇所の交差クリップを取外し、吊り線を残した状態で棚線が動くか確認します。吊り線の巻付けで棚線が動かない場合は吊り線を緩め棚線が動くようにします。 |
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・張線器の取付 周囲柱に張線器の固定側を取付けます。 張線器の取付ワイヤーは幹線の取外しや付け直しの支障のない箇所に取付けます。 |
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・掴線器の取付 引く幹線に張線器のワイヤーを引き延ばして掴線器を挟み固定します。 |
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・張線器による張り 張線器のハンドルを回して棚線にテンションをかけます。張る際、ワイヤーに捻じれや張線器や掴線器が支柱などに当たり負荷がかからないよう注意して引きます。 |
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・棚線の均し(吊り線部) 張った状態で線の途中にある吊り線箇所など負荷がありそうな箇所に衝撃を加えてずらして張りを均します。 写真ではペンチの持ち手で叩き均しています。負荷があるとき、叩いた際の手応えでわかります。 |
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・棚線の均し(交差クリップ) 交差クリップを残している場合、交差クリップの箇所で曲がり直線になることを阻害していることがあります。衝撃を加えて線を直線にします。 |
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・巻付グリップにより固定 張っている状態の棚線を鋼菅柱用巻付グリップで支柱に固定します。 張り直しにより余った線は、切断するか支柱ワイヤー等の巻付るなどして先端が危なくないよう処理します。 |
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・張線器の取外し 張線器のハンドルを抑えた状態でギアの固定を外し、ゆっくりと緩めます。 テンションが張った状態でギアの固定を外すと勢いよくハンドルが回ります。必ずハンドルを抑えて危険が無いように緩めます。 |
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・交差クリップ等の再取付 張り直しのために緩めた交差クリップや吊り線を取付し直します。 |
・張線器を使用する棚線 果樹棚の大きさによりますが、張線器は非常に強く張るため小張線と呼ばれる支柱のない箇所(周囲ワイヤー)に使用する棚線では通常使用しません。小張線ではペンチを使用して梃の要領で出来る範囲で張ります。 但し、果樹棚が大きく支柱密度が高い周囲ワイヤーであれば小張線も相応の太さの物を使用し、張線器を使用する場合もあります。 ・張線器の使用上の注意 張線器は強い力でワイヤーを張ることが出来る専用道具です。 誤った使用方法や張線器に不具合があると、テンションを張ったワイヤーが外れる。破断するなどして大変危険です。使い方の熟知や使用前には点検が必要です。 |
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