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ハマキムシ類の薬剤防除

 ハマキムシ類は非常に多くの種類がいます。種類により幼虫や卵で越冬し、成虫は年4~5回の発生時期があります。成虫が繁殖・産卵すると幼虫が葉を綴りその中で生息します。ハマキムシ類は葉だけなく芽や果実にも食害が発生します。
 特に芽に被害を受けることで発生年だけでなく、翌年にも大きく影響を残すため、被害が深刻がとなります。
 一度幼虫が発生すると葉の中に生息するため、薬剤が効きにくく防除が難しい害虫です。薬剤防除では、産卵前の成虫に対しての防除が重要となります。

ハマキムシ類の生態

 ハマキムシ類は種類により卵又は幼虫の状態で越冬し、4月上旬から幼虫が花弁を綴り新芽などの食害を与える種や、4月から5月にかけて越冬した幼虫が成虫となり飛来し、産卵して孵化した幼虫が葉を綴るなどして食害を与えます。
 成虫が4月から11月頃まで年4回から5回のサイクルで発生ます。

ハマキムシ類の越冬場所

 幼虫がサンゴ樹などの常緑樹、梨の粗皮の隙間など。卵が樹幹の表面に産みつけられて越冬します。
 越冬場所や形態(卵・幼虫)はハマキムシ類の種類によって異なります。

ハマキムシ類の薬剤防除の時期

成虫の発生時期:
1回目 4月下旬~5月中旬
2回目 6月中旬~7月中旬
3回目 8月上旬~9月上旬
4回目 9月中旬~10月 産卵した卵、幼虫が越冬する。

薬剤防除による効果:
・孵化した若齢幼虫(幼虫の発生初期)に対して防除を行うと効果的。
・多くの薬剤で飛来する成虫にも効果があるが、成虫は羽化翌日から産卵するため飛来していれば数日後(5~10日後)に幼虫の発生が予想される。

主なハマキムシ類に登録がある殺虫剤

製品名/有効成分  系統
アグロスリン水和剤
/シペルメトリン
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系 
アタブロンSC
/クロルフルアズロン
 キチン生合成阻害剤、タイプ0
ベンゾイル尿素系
アディオン水和剤
/ペルメトリン
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系  
イカズチWDG
/シペルメトリン
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系 
エルサン水和剤40
/フェントエート (PAP)
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
有機リン系 
オリオン水和剤40
/アラニカルブ
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
カーバメート系 
オルトラン水和剤
/アセフェート
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
有機リン系
カスケード乳剤
/フルフェノクスロン
キチン生合成阻害剤、タイプ0
ベンゾイル尿素系
コテツフロアブル
/ クロルフェナピル
プロトン勾配を撹乱する酸化的リン酸化脱共役剤
  ピロール、 ジニトロフェノール、スルフルラミド
サイアノックス水和剤
/CYAP (シアノホス)
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
有機リン系
サイハロン水和剤
/ シハロトリン
 ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系 
サムコルフロアブル
/クロラントラニリプ ロール
リアノジン受容体モジュレーター
ジアミド系 
スカウトフロアブル
/トラロメトリン
 ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系
スミチオン水和剤・乳剤
/MEP (フェニトロチオン)
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
有機リン系
ダイアジノン水和剤
/ダイジノン
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
有機リン系  
テルスター水和剤
/ビフェントリン
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系 
デルフィン顆粒水和剤
/バチルス チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素(BT)
微生物由来昆虫中腸内膜破壊剤
Bacillus thuringiensis と殺虫タンパ ク質生産物
ディアナWDG
/スピネトラム
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR) 競合的モジュレーター
 スピノシン系
トクチオン乳剤
/プロチオホス
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
有機リン系
トレボン水和剤
/エトフェンプロックス
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系  
バイスロイドEW
/シフルトリン
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系   
バリアード顆粒水溶剤
/チアクロプリド
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR) 競合的モジュレーター
 ネオニコチノイド系
ファルコンフロアブル
/メトキシフェノジド
脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体アゴニスト
ジアシル-ヒドラジン系
フェニックス顆粒水溶剤
/フルベンジアミド
 リアノジン受容体モジュレーター
ジアミド系
マッチ乳剤
/ルフェヌロン
キチン生合成阻害剤、タイプ0
ベンゾイル尿素系 
マブリック水和剤20
/フルバリネート
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系   
マラソン乳剤
/マラソン
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
有機リン系
MR.ジョーカー水和剤
/シラフルオフェン
 ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系
ミクロデナポン水和剤 85
/ NAC(カルバリル)
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
カーバメート系 
ラービン水和剤・乳剤
/ チオジカルブ
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
カーバメート系  
ロディー水和剤
/フェンプロバトリン
ナトリウムチャネルモジュレーター
ピレスロイド系
ピレトリン系 
ロムダンフロアブル
/テブフェノシド
脱皮ホルモン(エクダイソン)受容体アゴニスト
 ジアシル-ヒドラジン系
 殺虫剤は果樹を中心に紹介しています。適用作物等は個々のパッケージを確認して使用してください。
 薬剤効果や作用、薬害や弊害(ミツバチへの影響、土着天敵カブリダニへの影響)は薬剤により異なります。使用する時期やハマキムシ類の状態を確認の上薬剤を選択して下さい。

ハマキムシ類
 ・効果がある殺虫剤については、ハマキムシ類の薬剤防除

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