梨のコルク状果肉障害・水浸状果肉障害の原因と対策方法
主にあきづき梨と王秋に発症が多く、果肉の一部が褐色のコルク状や、褐色の水浸状となる果肉障害です。コルク状果肉障害は、果肉及び果皮直下にコルク状の斑点が発生し、果肉品質が大きく低下します。
コルク状果肉障害は食べることができますが、果皮直下に発症した分以外(果肉内部に発症した分)は外観から判断することができず、商品品質に大きな支障がある症状です。
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あきづき、王秋 など
・基本的な発生原因と発生条件
収穫始期より半月~1カ月早い8月中旬(満開 130~145 日後)頃に発生し始め、経時的に発生果率および発生度が高くなる。
ジベレリンペーストの使用、過度な果実肥大、摘果の遅れ、窒素過多、樹勢が強い、成熟の遅れ、高温、乾燥、土壌環境の悪化など様々な要因により発症し易くなる。
・対策方法
・摘蕾、早期の予備摘果の実施
摘蕾、早期の予備摘果(満開後15日以内)に行うとコルク状果肉障害の発生が少なくなる。
また、摘蕾、早期の予備摘果(満開後15日以内)に行うと果実が大きくなる。
・エテホン散布
成熟促進のエテホンを散布することで収穫日が早まりコルク状果肉障害の発生が少なくなる。
しかし、王秋梨では水浸状果肉障害が増加することがある。
・ジベレリンペーストの使用を控える
熟期促進および果実肥大促進に使用するジベレリンペーストを使用する発症が助長するため、ジベレリンペーストの使用は控えます。
・窒素施肥を適正に実施
窒素分が多いとコルク状果肉障害は増加。窒素分が少ないと水浸状障害が増加します。
必要に応じて窒素分の追肥や制限を行います調整します。
・樹勢による徒長枝乱立を押さえる
樹勢が強いとコルク状果肉障害が増加します。
新梢の摘心や誘引を行い徒長枝が乱立することを防ぎ、樹勢を落ち着かせます。
・高温を抑制する
高温年にコルク状果肉障害が増加します。高温時に樹上散水を行い果樹の高温を抑制します。
コルク状果肉障害・水浸状果肉障害の梨
・コルク状果肉障害 果肉内部に褐色の斑点のコルク状になった障害果実。 品質を低下させるだけでなく、外観から判断することが出来ない障害果実です。 |
コルク状果肉障害に関する対策資料集・参考文献(外部リンク) 2023年9月更新 |
・ニホンナシ「あきづき」および「王秋」の果肉障害対策マニュアル:農研機構 https://www.naro.go.jp/ publicity_report/publication/ pamphlet/tech-pamph/ 130289.html コルク状果肉障害と水浸状果肉障害に発症と低減に関する概要情報です。 |
・「あきづき」のコルク状果肉障害はエテホン散布による熟期促進で低減できる:農研機構 https://www.naro.affrc.go.jp/ project/results/4th_laboratory/ nifts/2017/17_045.html 成熟促進のエテホンを散布することによるコルク状果肉障害の低減に関する資料です。 |
・摘蕾および早期摘果によるナシ「あきづき」果実のコルク状果肉障害発生軽減 https://www.pref.kumamoto.jp/ uploaded/attachment/5126.pdf 摘蕾または満開15日までの早期予備摘果によりコルク状果肉障害の低減に関する資料です。 |
・ナシ「あきづき」の果肉障害発生と収穫時期および表面色との関係:茨城県農業総合センター園芸研究所 https://www.pref.ibaraki.jp/ nourinsuisan/enken/seika/kajyu/ nashi/documents/s21k04.pdf 収穫時期が遅いほど障害過率が高く、同一収穫日は表面色が進んでいるほど重症果の発生割合が高くなる資料です。 |
・ナシ「あきづき」果実におけるコルク状障害の発生実態:熊本県農業研究センター果樹研究所落葉果樹研究室 https://www.pref.kumamoto.jp/ uploaded/attachment/4962.pdf 熟期促進および果実肥大促進に使用するジベレリンペーストを使用すると発生助長に関する資料です。 |
・ニホンナシ「あきづき」および「王秋」の果肉障害対策マニュアル:(国研)農業・食品産業技術総合研究機構果樹茶業研究部門 http://www.naro.affrc.go.jp/ publicity_report/publication/files/ 20190325nifts_nihonnashi_manual.pdf コルク状果肉障害と水浸状果肉障害に発症と低減に関する各要因毎の詳しい資料です。 |
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