梨の糖度ランキング 種類と果実特徴
梨の品種毎の含有する糖度と、果実の食感や果実の主な特徴です。梨は赤梨と青梨に大別され、代表的な赤梨に「幸水」「豊水」、青梨には「20世紀」等があります。見た目に同じ梨でも種類により糖度や舌触り、保存期間に大きな違いがあります。
|
梨の主要の糖度ランキングと特徴の一覧
梨の品種は非常に多く、既に栽培していない品種を含めると膨大な種類になります。現在市場で流通する主な品種の糖度と果実の特徴です。参考糖度 | 品種 | 特徴 |
14.0~15.0 | 南水(なんすい) | 大別:赤梨 越後・新水の掛け合わせ。 果肉が柔らかく、幸水より甘みが強い。酸味が少なく、日持ちがします。中でもその強い甘みから人気の品種です。 豊水・幸水と比べると豊水はさっぱりした甘味。南水はしっかり甘い。幸水はその中間という感じです。 豊水・幸水と比較し栽培に手間がかかる品種でもあります。 9月下旬頃が最盛期です。 |
12.0~13.0 | あきづき(秋月) | 大別:赤梨 果汁が多く、酸味が少ない品種で、果肉の肌理が細かく食感が良いです。 (新高・豊水)・幸水の掛け合わせた品種で、食感については新高の食感を感じさせます。また、幸水・豊水より日持ちがするため人気があります。 9月下旬から10月上旬が最盛期です。 |
12.5~13.0 | 豊水(ほうすい) | 大別:赤梨 生産量が2番目に多い赤梨の代表品種。果汁が多く、糖度が幸水と比較して高いですが、ほどよい酸味があるため、感じる甘味は幸水に劣ります。甘いながらも酸味によりさっぱりした後味です。 9月上旬から9月中旬が最盛期です。 |
12.5~13.0 | 愛甘水(あいかんすい) | 大別:赤梨 赤梨の早生品種で、生まれ(愛知県)の方では幸水より早く7月下旬から8月上旬が収穫期となる梨です。しかし、管理人の栽培地ではなぜか幸水とあまり変わらず8月中旬頃が収穫期です。 |
12.5~13.0 | 新興(しんこう) | 大別:赤梨 果汁が多く、果肉が柔らかいが食べた後に特異な口当たりが残ります。長期保存ができます。 10月中旬から10月下旬が収穫期です。 |
11.0~13.0 | にっこり | 大別:赤梨 栃木のオリジナル品種。大玉で果汁が多く、酸味が少ない梨です。小さい果実は糖度が低い傾向があります。長期保存ができます。 10月下旬が収穫期です。 |
12.0~12.5 | 幸水(こうすい) | 大別:赤梨 言わずと知れた赤梨の代表品種で生産量の最も多い品種(生産量約40%)です。果汁が多く、酸味がほぼないことから甘味を感じやすい人気の品種です。 8月上旬から中旬が最盛期です。 |
12.0~12.5 | 新高(にいたか) | 大別:赤梨 生産量が3番目に多く、大玉となる赤梨の代表品種です。 果汁が多く、果肉が柔らかいが食べた後に特異な口当たりが残ります。大玉で日持ちがするため、安定した品質がある人気の品種です。 9月下旬から10月上旬が最盛期です。 |
11.5~12.5 | 愛宕(あたご) | 大別:赤梨 大玉の晩生品種で、1個1kgを超える大玉品種。流通する主要品種の中で最大の大きさです。 果肉の肌理が粗く、食べた後に特異な口当たりが残ります。また、長期保管ができる一方で、収穫後に追熟しないと十分な品質を得られない品種です 10月下旬から11月上旬が収穫期です。 |
11.5~12.5 | 夏しずく | 大別:青梨 幸水とほぼ同程度の甘味があるが、後味が幸水と比較してさっぱりしている。 収穫適期は果実が黄色となった時で、早いと青臭さ(デンプン臭)があり、早期落果し易く、適期を迎えるとすぐ落果すため適期が非常に短い。 青梨の早生品種で8月上旬から中旬が収穫期です。 |
11.5~12.0 | 喜水(きすい) | 大別:赤梨 新水より早い極早生品種で、早生品種の中でも品質の高い品種です。果汁が多く、果肉が柔らかい。酸味が少ない品種です。 8月上旬が収穫期です。 |
11.0~12.0 | 二十世紀 | 大別:青梨 鳥取産が有名な青梨の代表品種。 食感がシャリシャリして、甘味、酸味を含めてさっぱりした梨という人気品種です。 9月上旬から下旬が収穫期です。 |
梨の糖度ランキング
梨の品種中でも現在も栽培されていますが流通量が少ない品種です。市場の流通量は少ないものの、直売等で見かけることが出来ます。参考糖度 | 品種 特徴など |
15.0 | かおり(正式名称:平塚16号) 大別:青梨 非常に甘い品種ですが、病気に弱く流通量の少ない品種です。 収穫期:10月上旬 |
13.0~14.0 | 秋栄(あきばえ) 大別:赤梨 鳥取のオリジナル品種で他の地域の栽培は限定的です。20世紀と幸水の交配品種で、20世紀特有のシャキシャキした食感があります。 収穫期:9月上旬 |
13.0~14.0 | 甘ひびき 大別:赤梨 平成22年に品種登録された新しい品種で、早生品種の中で糖度が非常に高い品種です。 収穫期 :8月上旬 |
12.5~13.5 | 秋麗(しゅうれい) 大別:青梨 青梨の秀玉より甘く、酸味を感じない風味の良い梨です。日持ちがやや短いです。 収穫期:9月中旬 |
12.5~13.0 | 秀玉(しゅうぎょく) 大別:青梨 果汁が多く、果肉が比較的柔らかい。酸味少ない果実です。成熟時の早期落果や、日持ちがやや短いため、市場向け規模で栽培されることが少ない品種のため、流通が少ないです。しかし、青梨が好きな人に人気のある品種です。 収穫期:9月中旬 |
13.0~14.0 | 加賀しずく 大別:赤梨 石川のオリジナル品種で栽培地域は限定されています。果汁が多く、酸味が少ない。食感がなめらなか品種です。 収穫期:9月上旬 |
12.0~12.5 | 新水(しんすい) かつては「幸水」、「豊水」とあわせて「三水」と呼ばれた主要品種ですが、栽培技術の向上や他の品種におされ現在は大きく減少した品種です。「南水」の親品種でもあります。 収穫期:8月中旬 |
12.0~12.5 | 長寿(ちょうじゅ) 大別:赤梨 幸水と比較して同等の甘さがありますが、果肉の肌理が粗いため食感が劣ります。幸水より収穫時期が早いため、早もぎした幸水より美味しいが、最盛期の幸水と比較すると劣るという感じです。 収穫期:8月上旬 |
11.5~12.0 | 長十郎(ちょうじゅうろう) 大別:赤梨 一昔前の古い品種ですが、花粉樹として現在でも広く栽培されています。果肉の肌理が粗いため、食感がそれなりです。 収穫期:9月下旬 |
11.0~12.0 | 若光(わかひかり) 大別:赤梨 果汁が多く、果肉は柔らかい。糖度は高くはありませんが、酸味が少なくさっぱりした食感です。 収穫期:8月上旬 |
現在も多くの新品種も登録され増えるとともに、木の老齢化に伴う入替。栽培技術の発達。流通の変化。気候の変動により生産される品種も常に変化しています。
糖度数値はあくまで参考であり、年毎の気候の影響や収穫時期により大きく変化します。次項参照
収穫時期による糖度と果肉の変化
梨の糖度は、果実の成熟状況により大きな変化があり、収穫時期を変えるだけで糖度が1~2度変化することもあります。しかし、収穫時期を変えることは、同時に風味や果肉の変化が大きくあります。食味による高品質(美味しく)を得るためには、成熟状況による糖度の変化と果肉や風味のバランスが取れていることが重要です。
一般的な成熟状況による果実の変化 | |
果実の成熟状況 | 糖度・果肉・風味・酸味等の変化 |
早もぎ (若い・青い) |
糖度:適期と比較して低い 果肉:硬い 風味:でんぷん臭がある・青臭い など 酸味:強い 品種毎の一般的な流通に支障がない範囲の保存ができる。 成熟に伴う自然落果が発生しない。 内部から腐敗する芯腐れ症の影響を受けない。 |
適期 (中間) |
糖度:標準的 果肉:標準的 風味:果実本来の風味 酸味:標準的 品種毎の一般的な流通に支障がない範囲の保存ができる。 成熟に伴う自然落果が発生しない範囲での収穫時期。 |
完熟 | 糖度:やや高い 果肉:やや柔らかい 風味:果実本来の風味 酸味:やや和らぐ 保存できる期間が短くなり、条件よって流通に支障が発生する。 成熟による自然落果が発生する。 |
過熟 (熟し過ぎ・赤い) |
糖度:高い。又は低い 果肉:柔らかい 風味:異臭又は、強い甘味等の匂いの変質がおきる 酸味:大きく和らぐ。又は、無くなる 保存において流通に支障が発生する。 成熟による自然落果が発生する。 |
収穫時期を変えることによる影響例:
・酸味の強い品種
一般的な収穫適期を遅らせることで糖度は高く、酸味は低下してより甘味をより感じて品質が大きく向上する。しかし、流通性が低下する。(日持ちが悪くなる)
・果肉の柔らかい品種
一般的な収穫適期を遅らせることで糖度は高く、酸味は低下してより甘味をより感じるようになるが、果肉が柔らかいことで食感が低下して品質が大きく低下する。
・早期自然落果する品種
早もぎ(一般的な収穫適期を早く)することで、でんぷん臭や青臭さが風味を低下させるが、果肉が硬く、流通性の向上する。(日持ちがする。)また、生産総量が多くなる。
・梨の収穫
・直売所や産地直送品味の違いについては、梨の直売所と店頭の味の違いへ
・梨の選果・箱詰め
・梨の品質を確認する糖度測定については、梨の糖度測定へ
・主な品種の特徴や糖度については、梨の糖度ランキング 種類と果実特徴の一覧へ