摘果
・摘果の方法王道としては、健全な花芽に結実した3~5番果の果実の中から傷の無い形の良い果実を1つ残します。広く一般にもこの方法が知られています。
・摘果実施の注意
摘果は、一度に完全な摘果を行う必要はありません。
防除が行き届かない場合や、降雹被害を受ける地域では、早期に不要な果実を全て落とすと、十分な収穫を行えない事態繋がる恐れも起こりえます。
特に、黒星病等の被害を受けやすい場合には、大まかに摘果作業を行い、最終調整は袋がけ作業にて調整するのが確実です。
・摘果のその他
3~5番果を残すと説明しましたが、その理由としては各果実が成長や実り方に違いが発生することによります。
そのため、商品化を行わない趣味の栽培では無理に3~5番花に拘る必要はありませんので、自分が楽しく行える摘果を行うことも大切だと思います。
また、摘果作業の時は果実や芽を良く見る為、病気の発見に役立ちます。特に黒星病を早期に発見しましょう。
幸水梨等では内部から腐る芯腐れ症になりやすく、感染し易い果実を摘果作業で判断できます。詳しくは、梨の病気被害と対策芯腐れ症>「梨芯腐れ症の予防と対策方法」にて紹介しています。
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梨の摘果作業
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摘果前の果実 花芽1つに対して複数の果実が結実しています。 写真では、9花が咲き、内5個の果実が結実しています。 結実果は、1、3、4、6,8番果が結実しています。 |
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3~5番果以外の果実を落とします。 3~5番果の数え方は、花芽の根元から数えます。 結実、未結実に関わらず個数に数えます。 摘果鋏の先が4番果です。 |
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3~5番果の内、外観を確認し、病気の感染や傷等が無く、形が良い果実を選び、不要な果実を落とします。 可能であれば、真上を向いた果実も避けて選びます。 写真では、3番果を残すことにしました。摘果作業により必要な1個(又は、2個)となり、作業完了です。 梨の実らせる個数判断は「梨の摘果の適正個数」ページへ |
摘果作業時に観察する光景 | |
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・傷のついた果実 右側の果実に傷が付いています。 摘果作業では、他の無傷の果実を選びます。 |
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・雹害(雹、霰、霙)を受けた果実1 幼果の軸部分が雹害により傷付いてます。 幼果に傷がなくても軸に傷がついていない果実を選びます。 |
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・雹害(雹、霰、霙)を受けた果実2 幼果が雹害により傷付いてます。 傷跡は成長に伴い大きくなるため、小さな傷でも摘果作業で除去します。 |
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・黒星病がついた果実 中心の果実に黒星病の菌が付ついています(黒い炭のような菌)。 放置すると他の果実に広がる為、発見次第、切り落とします。 |
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・黒星病がついた芽基1 芽の基部に黒星病が繁殖している。芽基丸ごと切り落として処分(土に埋める・園外に運び出す)を行います。 |
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・果実病がついた芽基2 花芽全体に黒星病が繁殖している。「黒星病がついた芽基1」が悪化した状態であり、他箇所への感染が疑われるため周囲の確認も必要です。 対策は、 梨の病気被害と対策>黒星病 |
・基本的な摘果方法は「梨の摘果の方法」ページへ
・健全以外の「梨の摘果に向かない花芽」ページへ
・梨の実らせる個数判断は「梨の摘果の適正個数」ページへ
・1つの花芽に2個実らせる方法は「2個の梨の摘果」ページへ